100314小屋入り六日目(本番楽日)
お芝居の魅力って?何と誰と戦うのか?まだまだ、魅力探し作業は続きます。
@KOKOPLAZA/10:00-22:00
お越し頂きましたみなさまありがとうございました。
連日満員で増席し多少観にくいお席も有りました。
創造人材育成ワークショップ・大阪2009「演出家の仕事」は、
長く辛く、そして短かった三ヶ月だったけれど、かなり密度の濃い期間でした。
ただ単に「演出家の仕事」として、技術的な芝居の演出を学ぶだけでなく、
普段の生活を意識し、見つめ直し、投影し、置き換え、また「演出家の仕事」に戻っていく、
そのような日々が続きました。
毎回、参加者には「ふりかえりシート」と題して、毎回のwsの気がついた事を書いて頂きました。
毎回そのシートには、混乱し、錯綜し、皆との意見が合わず、何も決まらず、一人落ち込む(実はそれはほぼ全員)、内容が記載されていました。
本番当日まで何も決まらない事も。
追いつめ、圧縮させ、ギリギリまで待って、一番いい状態に持って行く。
それも、この企画の狙いでもありましたが、技術スタッフさんには、不安な、モドカしい気持ちにさせてしまう事も多々ありましたが、とても我慢して頂きました。
プロに任せてしまえばあっという間の作業でも、自分達で考え、ギリギリまで考え尽くしていいのだ、妥協しなくていいのだ、という事を学んだと思います。
生きていくと、諦めや妥協、嘘、適当、ステレオタイプ、そこそこ、適当、なんとなく、分かりやすさ、
になりがちな気持ちを、このwsでは、「ほんとうにそれでいいの?」
というこちら側に問いかけに必死になって考えていただいたのだと思います。
各人、かなり苦しい三ヶ月だったと思いますが、普段の生活で、
何かのキッカケでふと思い出した時に、反芻出来れば、嬉しいなと思います。
ほんと、スタッフのみなさまにはかなりご苦労おかけしました。
ありがとうございます。
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「平成・大阪・合邦辻」
[へいせい・おおさか・がっぽうがつじ]
日時:3/12(金)19:30
13(土)14:00 19:30
14(日)14:00
料金:一般 1000円/学生(高校生以下)800円(当日はそれぞれ200円増)
* 受付開始・入場整理券の発行は開演の1時間前。開場は30分前。
* 全席自由・未就学児の入場はご遠慮下さい。
* 学生の方は受付時に学生証をご提示いただく場合があります。
総合演出/安田雅弘(山の手事情社主宰/演出家)
原作/『摂州合邦辻』(菅専助・若竹笛躬作)
配役
チームあらすじ
吉本和孝/演出担当/先輩田中
山口仁志/後輩山田
ワークショップを終えて/吉本和孝(チームあらすじ)
仕事をしていて、胸を患ったことがきっかけでホントに自分の人生これでいいんだろうか、と思い、えいっ! と来てみたワークショップを終え、公演を間近にして思うこと。
1、志はその人の全てを決定する。2、なんでもやってみんとわからん。3、知らないこと、できないことを知ることが始めの一歩。4、魅力や才能がまったく ない人間はいない。5、世の中には知らないけど面白いことはまだたくさんある。6、人間が本気になり覚悟すれば、出来ない事って少ない。7、若いって素 敵、ちゃんと年とるって素敵。8、自分の扉を開けるのは自分だけ。
古典って、ちゃんとおもしろを伝える人が世の中にいれば相当おもしろコンテンツ。この公演に関わっていただいた全ての人に感謝します。出会ってくれてありがとう。いろんな人と出会って、また改めて出会いなおしてたいへんだけど幸せな3ヶ月でした。
本日はご来場ありがとうございます、この公演の何がしかが、お気に召したら幸いです。
では。
チームサーカス
星田有紀/演出担当
末廣一光/合邦道心
辻川ちかよ/辻(玉手御前)
齋藤直人/俊徳丸
坂しおり/浅香姫
小薗恵子/おとく
ケンメイとコッケイ/星田有紀(チームサーカス)
ご来場者のみなさま。観にきてくださって(足元が悪い中、寒の戻りの真っ最中なら尚更)ほんとうにありがとうございます。それだけ言えたら本望で す・・・が、もうちょっとちらほらと。大阪・四天王寺界隈の一角にある「閻魔堂」。その門脇にはとある石碑がどっしりと鎮座ましましております。それが 「玉手之碑」。夫が他界すれば、妻は剃髪して尼になる時代。玉手は若くして父親程の年齢の男性の「後妻」となります。待ち受ける尼としての長い「余生」。 玉手が石碑に名を残す事となったのは、作中での壮絶で犠牲的な死に方から…というよりは、彼女が「玉手御前」という人生を生ききったからだと私は言いたい のです。懸命に生きようとする人々、極まる感情がふと「滑稽」にみえる「おかしみ」。賑やかで陽気な場に、時に哀しみが漏れるように。それがサーカスのイ メージと合致して、今回こんなことになってしまいました・・・極度に訓練された猛獣達と、命がけの芸を生業とし懸命に自分の生活とサーカスを繋ぐ人生のお かしみ、哀しみ…5人の演者が、環状線の足音のもと、居酒屋・福家でその時の人生全てをかけ、サーカスを作り上げてくれました。今、皆様の目の前で彼らの 人生が、『サーカス・平成・大阪・合邦辻』として生ききられます。そこから何かを、いや、何でも!感じとってくだされば! 演出者が生ききった証となるでしょう(?!)それを切に切に願いつつ…ありがとうございました。
チーム食事
出井友加里/演出担当
且裕美/合邦道心
川畑存映/講中(一) /辻(玉手御前)
中川佐織/講中(二) /俊徳丸
上野美子/講中(三) /浅香姫
秋本久栄/おとく
感覚とりくつのはなし/出井友加里(チーム食事)
まず困ったのは、自分が「あれをああしてここでギャーッってなったら面白いな」と思っていても、役者さんに「意味がわからない」「そんなことやりたくない」と言われれば、それはその時点では舞台上で具現化されないということです。
私の中でだけきれいに見えているものとか、面白く見えているものを、なんとか伝わる形(言葉)にして、それをやる理由(理屈)を説明していく必要がありました。
私は言葉で説明できるなら演劇をやらなくてもいい、ぐらいに思っていましたが、それは自分の考えを疑い、掘り下げ、伝える努力を怠っているだけだとある時気付きました。
しかも私は、自分の中に既に何か(たぐいまれなるセンス、アイディア、信念など)があると思い込んでいたのですが、たいしてそんなに、実はほんとうに何もなかったので、余計にやっかいでした。
本日はご来場ありがとうございます。
チーム家なし
齋藤紗智/演出担当
浅谷幸作/家なしA
今中里佳子/家なしI
福家美廣/家なしH
柳英憲/家なしY
山下真央子/家なしM
北千里/家なしS
摂州合邦辻について/齋藤紗智(チーム家なし)
飛田の映画館にDVD化されていない映画を見に行ったことがあります。場内では無宿のおじさんたちが映画に見入っていました。おじさんたちは、食べたり、眠ったり、くつろいだりしながらずっとずっと映画を見続けていました。
きっとこの界隈で、マイナー映画について誰よりも詳しいのは、このおじさんたちなのだろうな、と思った時、尊敬している演出家の話を思い出しました。
神様は人間が愚かな性分なので、この世の美しいもの、豊かなものを人の目に見えない形にして隠しました。その、目に見えない美しいものを見つけ出して、 人々に分かる形に翻訳し表現するのが芸術家の役割、そのため、芸術家や文化に携わる者は経済のしくみに組み込まれすぎてはいけない、というエピソードで す。
おじさんたちが、どのような経緯で、意思にかかわらず、何を失くし、何を得るためにこの土地にいるのかと考えたことが、チーム家なし「摂州合邦辻」作成のきっかけです。
また、メンバーのみなさんからの体験談や、「家」についての考えがとても参考になりました。ありがとうございます。
ご来場ありがとうございました。
スタッフ
舞台監督/古谷晃一郎
音響/林裕介
照明/追上真弓、上田耕司、仲江義一
会場設営/家成俊勝(ドットアーキテクツ)、長谷川雅俊
スタイリスト/iroNic ediHt DESIGN ORCHESTRA(長田浩典、森田赳明)
ヘアメイク協力/小坂友理、井口紗千桜(以上、ECCアーティスト専門学校トータルビューティー・アーティスト・コース)
運営スタッフ/近藤美佐子(NSP)、伊藤美友、田中裕一、廣瀬良二、三谷葵、森嶌正紀
記録/加藤文崇(NPO法人recip)、吉澤弥生(NPO法人recip)、長谷川淳(les contes)、三鬼弥生(les contes)、仲川あい、安井杏子
フライヤーデザイン/marqmew
協力/安治川倉庫FLOAT、大阪市立芸術創造館、劇団自由派DNA、柳本商店
演劇というもの/安田雅弘(山の手事情社主宰/演出家)
お芝居というと、ほとんどの人はまず話がわかるかどうかを重視する。しかしそれは世界的な傾向でも、ましてや日本に伝統的にある演劇の楽しみ方でもない。たまたま現代の日本人がそのように特殊な、というか幼稚な鑑賞方法を当然と思っているだけのことである。他の文明国を見渡しても、たとえば室町以降の日本の歴史を眺めまわしても、われわれは著しく演劇の味わい方を失った地域と時代に生きている。端的にいえば教養に乏しい。この状況はまじでやばい、と個人的には思っている。
江戸時代に「摂州合邦辻」に来た観客ははじめて聞くおはなしが見たくて劇場に足を運んだのではない。クラシックファンが交響曲のメロディを把握している程度に、物語はわかっていた。登場人物たちそれぞれが抱えるこみいった事情と、それが交錯するなか発生する予期せぬ複雑で高邁な感情を味わうことで、自分たちの暮らしている社会に思いをいたしたのである。なるほど人間とはそういうものか、ということが短時間でどかんとわかることが演劇表現の何よりの強みだ。そういう豊かで大人の視点から作品化に臨むよう、参加メンバーを鍛えてきたつもりである。
創造性豊かな人材を育成するワークショップって何?/餘吾康雄(財団法人 大阪城ホール 文化振興部アートマネージャー)
去年の創造人材育成ワークショップ「マイムmeets フランス文学」を行なっている最中に今年のプランを思案していました。多くのお客様にご覧頂き内容も成功裏に終わりました。では次年度の役割は?本事業を継続、発展させていくならば与えられた多くの課題を消化しさらにそれを取りまとめる人材育成作りがメインになるような企画を考えてみようと。次のステップに向かうにはいろいろなアイディアを言語化、具現化し、評価や批判を受け、責任を追う、というワークショップが必要なのではないかと。「演出家の仕事」では様々な疑問を探索、設定し、雑多な情報群の中から自ら選び、深化させ、身体と頭を抑圧させてきました。その末に得たであろう事はとても尊いモノだと感じています。そういう作業って普段の生活ではなかなか出来ないと思うのです。わずか三ヶ月の稽古でしたが21 名のアイディアが詰まった「摂州合邦辻」演出をごゆっくりお愉しみください。